「裏話」
です。
タイトルは、「8Iじゃでかかったな」です。
あれは、もう10年くらい前のQスクールの時です。
会場は茨城県のとあるゴルフ場。
同伴競技者は4名、私以外には
当時シニア入りしたてのある意味名の知れたIプロ
初めて出場した20才くらいのN選手
私と同年代のS選手
の4名。
最終日でしたから、スコア順に並んだ組み合わせで、
4名ともスコアはほぼ同じでスタート時は、通過の当確線上に位置しています。
ものすごく大事なラウンドなのは言うまでもありません。
当然のごとくある一名は除いて会話もほぼ無く、
緊張のラウンドをしていました。
残り3ホールになって、
私とIプロはトータルスコアはほぼ同じで当確線上、
S選手は調子を崩し圏外、
N選手は、通過ラインに3打ほど余裕がある状態でした。
念の為、先に確認しておきますが、
通過はスコアでなく人数ですので、この時点では予想
としてしか認識はありませんでした。
残りは、
16H Par3
17H Par4
18H Par4
の3ホール。
この残り3ホールでありえないことが2回起こります。
まずは一つ目の出来事。
16Hは7Iか8Iで悩むショット、
ピンは奥、グリーン奥にはバンカー、ショートすると
2段グリーンで3パットがありえる状況です。
オーナーは、Iプロ。
明らかに抑え目で打ったパンチ気味なショット、
ピンへ向かい飛んでいきますが、
惜しくも奥のカラーに止まります。
その球を見て大きな大きな独り言を言います。
「あ〜、やっぱり8Iじゃでかいか〜!」
同伴競技者とキャディーさんが振り向くほどの
デカイ一言。
そりゃ、その後打つ3人は気になりますよ。
きっと8Iじゃなくて7Iの押さえ気味のショットだった
のがバレバレでも、気になってしまいます。
「8Iでもでかいんじゃないか?」
って頭をよぎります。
16Hは、私はまんまとボギー(笑)
他はパー。
コレが一つ目の出来事。
そして、問題の二つ目の出来事が続きます。
17H、このホールは練習ラウンドから誰もが攻略に困るホール。
右ドックレックで右がOB、左が林の狭く長いミドルホール。
Teeショットはドライバーを打つしかない状況、
でも、当確線上にいる選手にとっては、震えが止まらないTeeショット。
この時点で、
Iプロが当確線上ギリギリ(甘めの予想ですが)
N選手が予想から3打くらい余裕がある状態
(この時点では、ボギー・ボギーでも!な感じ)
私は、前のホールのボギーで厳しい状態。
オーナーは、Iプロ、
Iプロはシニアツアーもあるので比較的余裕のある精神状態で
ぺらぺらとしゃべりながらのショットです。
(ま、ラウンド通して、自分で解説しながらラウンドしているような状態)
Teeショットを打つ直前まで、
「右からまわして・・・」「左からスラで・・・」
なんてぶつぶつ言ってます。
そして、Teeショットを打ちます。
右がOBのこの狭いホールを、
右からフックで強い球を打ち、フェアウエーセンターの
ベストポジションへ運びます。
そして、やはり・・・大きな独り言を
「いや〜、右からの風が強くて良かったな〜、戻ってきたよ」
私は、この時点で「また言ってんな、このオッサン」と思ってました。
2番目にTeeショットを打つのは、
初出場で、通過が見えている若手のN選手。
今でも忘れませんが、この時、考えられない程の緊張した表情をしてました。
めちゃ考えてるようで、TeeUPもままならないくらいの状況でした。
私はこのN選手に通過して欲しいと思っていました。
ですから私の頭の中では、
「Iプロの言葉を振り払って、思い切って自分を信じて打って欲しい」
「風なんか吹いてない、真っ直ぐ打て」
って、頭の中で言ってました。
そんな、悩みながら、考えながら、緊張しながら打った
N選手のショットは・・・
スライスして右へのOB。
「まだわかんねーぞ。落ち着け」
再び右のOB付近へ。
暫定球を打ち、左の林へ。
2球目が残っていたものの、トリプルボギー。
18HのTeeへ上がった時には、
当確線上にIプロとN選手になっていました。
(あ、私は、ボギー打って完全圏外(笑))
2選手とも当確線上ですが・・・
IプロとN選手の精神状態は全くの反対なのは、手に取るようにわかります。
18Hは、普通のミドルホールでしたが、
Iプロはパー。
N選手は3パットのボギー。
18HのTeeショットを打ってセカンドへ向かい歩いている時も
Iプロはしゃべり倒します。
聞こえてきたのは、IプロからN選手への言葉
「まだわかんね〜ぞ。最後まで諦めたらダメだぞぉ〜」
(めちゃ、適当で軽い言葉でした)
もしかしたら、得意の独り言だったのかもしれません。
声の聞こえる方をちらっと見ると、
意気揚々と歩くIプロの数メートル後ろを
うなだれて、タオルで顔を隠しながら歩くN選手の姿。
多分、泣いていたと思います。
Iプロへのコトではなく自分のふがいなさへの涙だと思いますが。
初出場で20才の若い選手には、手厳しい試練だったと思います。
もちろんIプロの責任だ!というのは間違っているのはわかってます。
しかし、紳士のスポーツでありマナーを第一とするスポーツで
いろんなことを知っているベテランのプロのするコトとしては、
ちょっとばかりセコイプレースタイルです。
実はプレー終了後もちょっとしたことがありました。
アテストを終えたあと、成績を確認しながら、
協会の担当者とIプロが会話してました。
その日のショットの内容やらなんやら話していましたが、
担当者「今日若い選手ばっかりで疲れたんじゃないんですか?」
Iプロ「いやいや、若い奴に簡単には負けないよ。」
担当者「Iプロギリギリですが通過できそうですね。何人かスコア崩しましたからね」
Iプロ「ホント、崩れてくれた選手がいて助かるよ。俺も必死でいろんなことしたもの」
すんません。
まさモア、聞いちゃってました。聞こえちゃってました。
やっぱり、あんたの独り言、作戦なんかい!
ルール違反じゃないだろけどね。
そりゃねないんじゃない?
だから、鳴かず飛ばずなんですよIプロ!
成績はレギュラーツアーもシニアツアーもさっぱりじゃないですか!
あんた、せこくて実力無いよ。
(それより、ランクが下の私はもっと実力無かったですがね(笑))
スゲー見損なったも。。。残念。
一芸に秀でていたのにね、性格が悪かったなんてね。。。
そういえば、あのN選手。
プロテストは合格したみたいだけど、
ツアーには出てこないな。
上手くて実力あるんだけどな。。。
N選手、活躍を期待しています。ゴルフはシニアまで勝負できますから、
まだまだ先は長い!って、まだ30超えたくらいか・・・
頑張ってください!応援してます!